証券会社の「格付け」とはどんなもの?選び方や上位企業を一覧でご紹介

投資には様々な専門用語があり、その内のひとつに証券会社の「格付け」というものがあります。格付けは投資をおこなう上で判断の基準になるので、知らないと将来損をするかもしれません。

こちらの記事では、証券会社の格付けが表す意味や上位企業を一覧で紹介しています。

証券会社を選ぶポイントもあわせて解説しており、これから投資をはじめる方にピッタリの内容となっているので、ぜひ最後までお付き合いください。

▼この記事のかんたんまとめ

  • 格付けは企業の信用力を示したもので、AAA〜Dの9段階の記号で表される。
  • 証券会社の選び方は格付けだけでなく、様々なポイントがある。

格付けとは

格付けとは、上場企業の「債務支払い能力の高さ」を格付け機関が記号によって表したもので、信用力を把握するための指標です。

記号とは以下の表を用いており、基本的にAに近くその数が多いほど評価が高くなっています。

格付けの記号と評価の内容
AAA債務支払い能力が最も高い
AA債務支払い能力が極めて高い
A債務支払い能力が高い
BBB債務支払い能力は高いが、注意する要素がある
BB債務支払い能力に問題はないものの、十分注意する要素がある
B債務支払い能力に問題があり、絶えず注意が必要
CCC債務支払い能力に不安があり、不履行に陥る可能性がある
CC債務不履行に陥る可能性が高い
C債務不履行に陥る可能性が極めて高い
D債務不履行に陥っていると判断している
出典:https://www.r-i.co.jp/rating/about/definition.html

AAA〜BBBまでを「投資適格格付け」といい、信用力は比較的良好ですが利回りが低いのが特徴です。反対にBB以下は「投機的格付け」といい、信用力は低いものの利回りが高く設定されています。

格付け機関によってはAA〜CCCの記号の後に符号が付き、上位格に近い場合が「+(プラス)」で、下位格に近い場合が「-(マイナス)」です。

格付け機関は海外の「S&P」「Moody`s」「Fitch」などが特に有名で、三代格付け機関ともよばれています。国内にも格付け機関があり、「日本格付研究所(JCR)」「格付投資情報センター(R&I)」の2社が一般的です。

証券会社名格付け機関による評価
S&PMCFRJCRR&I
SMBC日興証券AAAAAA-
auカブコム証券AA-AA-
三菱UFJ証券ホールディングスA-AAAAA-
みずほ銀行AAA-AAAA-
三菱UFJモルガン・スタンレー証券AAA-AAAA-
しんきん証券AA
BofA証券AA
シティグループ証券A+A+
野村證券A-AA-AA-A+
モルガン・スタンレーMUFG証券A+A+

証券会社はどうやって選ぶ?

証券会社の数は数多くあるので、どこがいいのか分からないと選ぶだけでも大変なことでしょう。

選ぶ際には様々なポイントがありますが、そのなかでも以下の4点を比較することで絞り込みが容易にできます。

手数料がいくらかかるか

まずは、手数料がいくらかかるのかをみましょう。取引を頻繁におこなうとその都度手数料がかかるので、仮に同じ回数の取引をおこなったとしても、手数料だけで数千円もの差が生まれます。

証券口座の入出金や口座の管理にも手数料がかかる会社もあり、会社が提供する取り引きコースやプランによっても手数料は大きく変わるので、とくに注意が必要です。

基本的に対面や電話での取引は手数料が高く、オンラインでの取り引きは安くなっています。

取扱っている商品はどれくらいあるか

証券会社では債券以外にも投資信託やFX・外国株など、様々な商品を取り扱っています。それら全てを取り扱っているわけではなく、特に外国株の取扱い数は大きな差がでるポイントです。

口座開設には時間や労力がかかるので、せっかく口座を開設しても取り扱っていなかったら無駄足になってしまいます。事前に各証券会社で確認をしておきましょう。

取り引きツールが使いやすいか

実際に取り引きをするときはスマートフォンから注文をする人が多く、その際に使用する取り引きツールの使いやすさも大きなポイントといえます。

証券会社ごとに独自のアプリやツールを提供していることも多く、シンプルなものから豊富な機能を備えたものと様々です。

快適な取り引きをおこなうためにも、自分に合ったツールを選ぶことが大切です。

投資に関する情報発信はしているか

証券会社はただ売買をするだけではなく、投資に役立つ情報発信をしているかもポイントです。

投資信託や株式などの商法発信以外にも、アナリスト(企業の株価や将来性を多方面から評価・予測する専門家)による投資レポートや定期的なセミナーの開催など、証券会社によって様々な取り組みをおこなっています。

こういった情報発信サービスは口座を開設・保有しているだけで利用できることが多く、無料で口座が維持できるなら複数の証券会社を使うのもおすすめです。

格付け評価が高い上位3社を紹介

証券会社で格付け評価が高い10社を一覧にすると、いずれも9段階評価のなかで「投資適格格付け」に位置するA~AAが付与されています。

そのなかで、海外の格付け会社を基準に評価の高かった上位3社を簡単に紹介していくので見ていきましょう。

証券会社名格付け機関による評価
S&PMCFRJCRR&I
SMBC日興証券AAAAAA-
auカブコム証券AA-AA-
三菱UFJ証券ホールディングスA-AAAAA-
みずほ証券AAA-AAAA-
三菱UFJモルガン・スタンレー証券AAA-AAAA-
しんきん証券AA
BofA証券AA
シティグループ証券A+A+
野村證券A-AA-AA-A+
モルガン・スタンレーMUFG証券A+A+

SMBC日興証券

SMBC日興証券は、日本の3大金融グループのひとつ「三井住友フィナンシャルグループ」の完全子会社です。

グループでは他にも投資銀行や消費者金融などもおこなっており、その事業の多角化から顧客の層がとても厚くなっています。

完全子会社でグループの評価がそのまま反映されているので、どの格付け機関も軒並み高評価です。

みずほ証券

みずほ証券は、日本3大金融グループである「みずほフィナンシャルグループ」の完全子会社です。準大手証券会社でありながら、グループ全体の高い評価がそのまま反映されています。

海外だけでなく国内の格付け機関からも高い評価を得ており、債務不履行に陥る可能性は低いといえるでしょう。

三菱UFJモルガン・スタンレー証券

日本3大金融グループのひとつ「三菱UFJフィナンシャルグループ」傘下の会社でもあり、親会社に三菱UFJ証券ホールディングスを持っているのが、三菱UFJモルガン・スタンレー証券です。

SMBC日興証券やみずほ証券と同様に、グループが持つ高い評価がそのまま格付けにも反映されているのが特徴です。

証券会社 格付けに関するQ&A

ここからは、証券会社の格付けに関する質問とその回答を紹介します。

Q:格付け上位の証券会社を選べば間違いないの?

必ずしも格付け上位=間違いないというわけではありません。基本的に格付け評価が高い証券会社は、対面型で歴史の古い証券会社が多くなっています。

評価が高いから機能やサービスが優れているわけではなく、あくまで債務支払い能力の高さを格付け機関が独自の基準で評価し、記号によって信用力を示しているだけでひとつの基準でしかありません。

仮に同じ金額をオンラインで取引した場合の手数料の違いを、一覧で上位に位置する「みずほ証券」と、それより下位の「野村證券」で比べてみます。

「オンライン」で「株式」を「約定金額100万円」で取り引きをした場合の手数料
みずほ証券3,465円
野村證券1,048円

野村證券の方が手数料が3分の1以下に抑えられているので、何度も取り引きをおこなうスタイルの人には野村證券の方をおすすめします。

格付け評価の高さで選ぶよりも、自分の投資スタイルにあったサービスや機能を見つけるための比較が大切です。

どこの証券会社がいいのかは「証券会社 おすすめ」で詳しく解説をしているので、参考にしてください。

Q:もし潰れてしまったら預けてたお金は損してしまうの?

証券会社も破綻(立て直しができなくなること)するリスクがあり、いつ潰れるのかは誰にもわかりません。万が一潰れてしまったとしても、預けていた資産は返金されるので心配はありません。

証券会社に預けている有価証券(株式や債券など)は、顧客のものと会社のものを分けて管理することが金融商品取引法で定められており、これを「顧客資産の分別管理」といいます。

三菱UFJモルガン・スタンレー証券の場合、公式サイトで以下のように記載されているので見てみましょう。

お客様よりお預りしている金銭や株式、債券などの有価証券は、証券会社自身の資産とは分別して管理することが法令上義務付けられています。これを「顧客資産の分別管理」といい、証券会社が破綻してもお客様の資産は保全され、お客様ご自身に返還されます。

https://faq.sc.mufg.jp/faq/show/538?category_id=11&site_domain=default

顧客資産の分別管理はすべての証券会社が果たす義務ですが、もし潰れた証券会社が適切な分別管理をおこなっていなかった場合、資産が戻ってこない可能性が高いです。

そんな時に適用されるのが「日本投資者保護基金による補償制度」で、上限が決められていますが1,000万円まで支払いがおこなわれます。

万が一潰れてしまうようなことがあっても「顧客資産の分別管理」と「日本投資者保護基金による補償制度」の2つがあるので、安心した取り引きが可能です。資産が1,000万円を超えたら証券会社を複数利用し、破綻のリスクに備えることをおすすめします。

なかには日本投資者保護基金による保証外の資産もあるので、事前に確認をしておきましょう。

まとめ

証券会社の格付けは「債務支払い能力の高さ」を格付け機関によって記号で表したもので、信用力を示す指標です。

A~Dを使い、Aに近くその数が多いほど評価が高くなっています。記号の後に「-」や「+」といった符号をつけて、より細かい評価をつけることも可能です。

格付け機関が高い評価をつける上位企業はいずれも「A以上」が付けられていますが、これはグループ会社の評価が反映されているものが多く、証券会社を選ぶ際には手数料や取扱商品なども比較することを忘れず比較しましょう。

もし証券会社が潰れてしまっても「金融商品取引法による資産の返金」と「補償制度による1,000万円までの支払い」があるので心配はいりません。

まずは格付け上位の証券会社を比較してみて、自分の投資スタイルにあった会社で口座開設からはじめましょう。

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